代表取締役等住所非表示措置とは

代表取締役等住所非表示措置とは

1.制度の概要
代表取締役等住所非表示措置とは、一定の要件の下、株式会社の代表取締役の住所の一部を、法務局から発行される登記事項証明書や登記情報提供サービスから提供される登記情報に表示しないこととする措置のことをいいます。

この措置を講じると、登記事項証明書等には、代表取締役の住所の最小行政区画まで(東京都渋谷区や横浜市中区など)の表示となります。

2.住所を非表示する際の注意点
代表取締役等住所非表示措置を講じた場合、登記事項証明書等から代表取締役の住所を確認することができなくなることから、以下の点が懸念されます。
(1)融資や与信審査への影響
登記事項証明書等に代表取締役の住所が表示されないことで、融資を受けるにあたって不都合が生じる可能性があります。
また、取引先の与信管理によっては、信用調査の回数が増えたり、与信限度額の引き下げが検討されたりするなどの影響も考えられます。

(2)必要書類の増加
登記事項証明書等に代表取締役の住所が表示されないことで、取引時に必要な書類が増加する可能性があります。会社の印鑑証明書や代表取締役個人の住民票の写しなどを追加で求められることが考えられます。

(3)代表取締役の住所変更登記
住所の非表示は現に効力のある代表取締役の住所のみが対象となり、過去のすべての住所が非表示となるものではありません。特に、住所変更を伴わない重任登記と同時に代表取締役等住所非表示措置の申出をする場合、直前に登記されていた住所は、現在の住所と同じであっても非表示になりません。
また、代表取締役等住所非表示措置の申出をする場合、登記申請の前に必要な書類を準備する必要があり、すぐに登記申請ができない場合がありますのでご注意ください。

なお、代表取締役等住所非表示措置を講じた場合でも、代表取締役の住所に変更が生じたときには代表取締役の住所変更登記が引き続き必要となります。さらに、登記の申請書には代表取締役の住所を記載しますが、登記事項証明書等に代表取締役の住所が表示されないことで、現在登記している代表取締役の住所を失念することのないようにご注意ください。

3.代表取締役等住所非表示措置の申出手続き
代表取締役等住所非表示措置は、現時点においては、以下の要件により申出をすることができます。
(1)登記申請と同時に申し出ること
代表取締役等住所非表示措置の申出は、設立や代表取締役の就任(重任)、代表取締役の住所変更、管轄外本店移転の登記申請と同時にする場合に限りすることができます。

(2)所定の書面を添付すること
代表取締役等住所非表示措置の申出にあたっては、所定の書面の添付が必要となります。ただし、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている会社については②のみの添付となります。
① 株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面
② 代表取締役の住所を証する書面
③ 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面
申出方法の詳細は、代表取締役等住所非表示措置の申出方法 をご確認ください。

4.代表取締役等住所非表示措置の継続
代表取締役等住所非表示措置が講じられている会社について、非表示としている代表取締役の住所に変更がない場合は、当該代表取締役の重任や管轄外本店移転の登記申請に際して引き続き代表取締役等住所非表示措置が講じられますので、改めて申出をする必要はありません。

他方で、当該代表取締役の住所に変更がある場合は、改めて代表取締役等住所非表示措置の申出が必要となりますのでご注意ください。

5.代表取締役等住所非表示措置の終了
代表取締役等住所非表示措置が講じられている会社について、以下の場合においては、代表取締役等住所非表示措置が終了することとなり、代表取締役の住所が登記事項証明書等に表示されることになります。
(1)代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出があった場合
代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出書を提出することにより行います。
代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出は、登記申請と同時である必要はなく、単独で行うことができますが、当サービスでは対応しておりません。

(2)株式会社の本店所在場所における実在性が認められない場合
代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社について、その本店が登記上の所在場所に実在しない蓋然性が高いと判断されたとき、登記官が株式会社の本店に宛てて通知を送付し、一定の期間内に返送等がない場合は代表取締役等住所非表示措置が終了されます。
また、本店所在場所における実在性がない旨が弁護士等の資格者から情報提供があった場合には、通知されることなく代表取締役等住所非表示措置を終了されることがあります。

6.代表取締役等の住所の情報の提供や閲覧
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合であっても、官公署からの請求等に応じ、非表示となっている住所の情報を提供することがあります。
また、利害関係を有する者は、登記申請書や添付書類の閲覧をすることができるため、非表示となっている住所を確認できる場合があります。
Powered by Helpfeel